「山にいこうよ」 講習に関する業務手順書 第1.0版

第1章 総則

(適用範囲)

第1条   

本業務手順書は、「山へいこうよ」(代表 椿健、 以下本会)が主催する初心者向けの登山講習会および中級者向けの登山講習会(以下まとめて、定例会と称する)において主として登山中の安全性を一定程度担保するために主催者が実施する講習会に関わる業務手順を定めます。

第2条

講習会への参加者に対しては、登山に関わる講習会を実施します。

2          

講習会は、定例会への申し込みが済んだ参加者に対して実施します。

3          

講習会は、定例会前の事前オンライン講習と定例会における実地講習により構成されます。

第2章 講習会の目的と対象

(目的)

第3条   

講習会の目的は大きく以下の2つです。

①登山の初心者がまず修得すべき登山技術の習得。

②登山中の身体の健康を最低限保つために日々実施すべき基本的なトレーニング。

(対象)

第4条

講習会の主たる対象は、初心者向けの講習会参加者とします。

第3章 講習会の内容

講習会の内容は、登山を安全に楽しむために必要な内容を扱います。

2          

講習会での講習項目を別添1に示します。

3          

実際のオンライン講習の例を別添2に示します。

別添1 講習会での講習項目

・基本装備(これだけは必要な4点セットとその選び方)
・レイヤリングの基本
・ふだんのトレーニング方法
・装備の基本
・登山ルート設定の基本
・地図読みの基本
・登山靴の選び方、履き方
・ザックの選び方、背負い方
・水分補給
・ラクラク登山の極意①(心拍数管理)
・ラクラク登山の極意②(登り方の基本)
・ラクラク登山の極意③(下り方の基本)
・ストックワーク(登り・下り)
・行程管理の基本(休憩の取り方等)
・三点支持、鎖場の登り降り
・高山病予防

別添2 実際のオンライン講習での講習例

本会においては、参加者に対して定例会のおよそ1か月前よりfacebookのMessenger等を通じて事前講習の案内と質疑応答を行っている。その一例を以下に示す。

事前講習の例 夏山登山教室

《第1報》

皆様、5月定例会へのご参加、誠にありがとうございます。早速ですが、当日に向けてのトレーニング方法をお伝えします。

「階段」をできれば1日10階ぐらい登られることをお勧めします。

最初の1週間は普通に、慣れてきたらつま先のみで登ってください。マンション、職場の階段でも、神社の階段でもいいです。途中で苦しくなるようでしたら、少しペースを落として登ってOKです。登山に必要な心肺能力と筋力を鍛える上で、階段昇り以上に最適なトレーニングはありません。詳しくは当日説明しますが、ぜひ明日から試してみてください。

また、当日は「鎖場講習」も実施します。登山用グローブと、できればヘルメットのご用意をお願いします。グローブはモンベルでしたら、「クールグローブ」シリーズがお勧めですが、登山用であれば何でもいいです。軍手は滑りやすいので不可です。ヘルメットは必須ではありませんが、これから日本百名山を登る予定の方は買っておいても損はないですね。講習だけでしたら、自治会のヘルメットでも構いません。よろしくお願いします。

《第2報》

おはようございます。

今日は登山の装備について説明します。

登山の「4大装備」とは諸説ありますが、

1.登山靴

2.ウエア(レイヤリング)

3.レインウエア

4.ザック

となります。これに「トレッキングポール」を加えて5大装備とする考え方もあります。

いずれも当日、選び方を説明しますので、急いで購入する必要はありませんが、当日は雨天決行しますので、レインウエアの準備をまずお願いします。

レインウエアは登山用のもので、ゴアテックスなど透湿防水素材のものであればメーカーはどれでもいいと思います(登山用でない安いものは登山中に破れるのでお勧めしません)。

「折りたたみ傘」も場所によっては重宝します。

また、ウエアですが、基本的な考え方として、登山の服装はレイヤリング(重ね着)が基本となります。

・アウター(上着)

・ミドル(中着)

・アンダー(下着)

の3層が基本となります。アウターは最も外側のウエアで、登山の場合は防水性と透湿性がポイントになります。無雪期のアウターはレインウエアで代用できますので、定例会前に購入するとしたら、レインウエアとアンダー(後述)ということになります。

ミドルは空気を含むもので、もちろん登山用で各社よいものが出ておりますが、これもフリースなどで代用できますので、まずアウターとアンダーを準備して頂きたいと思います。

アンダーは登山用の吸湿保温素材のものをご準備ください。モンベルでしたら、「スーパーメリノウール」か「ジオライン」など、パタゴニアであれば「キャプリーン」シリーズなどです。

夏の富士山などで、Tシャツやジーンズで登っている人を良く見かけますが、山で綿素材は絶対にダメです。綿は汗や雨などで濡れると、急速に体温を奪って人命を危険に晒します。私のサイトでも「伸びるジーンズで登山したら注意された」という投稿が盛り上がりましたが、伸縮性と保温性は全く関係がありません。夏山で低体温症で亡くなった事例はたくさんあります。アンダーは登山用の吸湿保温素材のものを必ず準備してください。

本日はここまでです。

よろしくお願いします。

《第2報 追伸》

余談ですが、人間は水があれば1か月は生きられると言われています。実は「けもの道」や「林業用の道」が入り乱れている低山の方が道迷い遭難のリスクは高いのですが、道迷い遭難で亡くなるのは、レイヤリングに問題がある場合がほとんどです。私のサイトでも「昔は透湿保温素材なんてなかった」「ワークマンなら安いですよ」といった投稿がありますが、ウエアは登山用のしっかりとしたものを準備されることをお勧めします。

標高2000m以上の高山や東北・北海道では、夏山でも5℃以下の気温になることはよくあります。それらの山に登られる場合は、レイヤリングをきちんとすることがまず肝要となります。

私はアンダーは28年前に購入したオドロを今も使用しています。さすがにくたびれてきていますが、やはり良い物は長持ちしますので、しっかりとしたものを購入されることをお勧めします。サイトでも紹介しましたが、先日もウエアが生死を分けた事例がありました。

山頂でビキニ姿で動画を撮って投稿していたYouTuberが低体温症で亡くなりました。滑落して動けなくなり、翌日、低体温症で死亡しているところを発見された事例ですが、上着はきちんと着用しており、アンダーに問題があった事例です。

《改訂履歴》

2021年4月29日 第1.0版作成